Setting |
■「世界」観 物語の舞台となるのは、無数に存在する世界の内の一つであるが、 まず、全体的な「世界」観というものを説明する。 先程話したように、「世界」というものは無数に存在し、 お互いに影響を及ぼしあいながら、バランスを保っている。 中には複数の世界が一つの世界を成しているものもある。 また、一つの世界から、新たな世界が生み出されることもある。 一つの世界の周りには時空間が存在し、 また、世界を取り巻く時空と時空の間には 次元の狭間とも呼べるものが存在する。 Temperamentはこれを「世界境界」と呼んでいる。 この次元の狭間の存在により、 世界と世界を跳躍して移動することは Temperament以外には不可能である。 しかし、各世界の間のバランスは崩壊することもあり、 その際、次元が歪んで、ある世界に存在するものを 別の世界へと跳躍させてしまうことがある。 また、同世界の何処かへと跳躍する場合や、 同世界であっても、違う時代に飛ばされる場合もある。 (特に、何かしら能力を持つ者は次元の歪みに巻き込まれることが多い) 特に、ある世界が消滅を起こした際の バランスの壊れ方は凄まじく、近隣の世界も巻き添えを食うことがある。 (世界が壊れかかっている際、次元の歪みが多発することも、 Temperamentによって確認されている) ・Temperament 次元の歪みに巻き込まれ、時空間、別時代及び別世界へと 跳躍してしまった人々やものを元の世界へと連れ戻し、 各世界のバランスを正常に保つという 役割を果たす人々のことを総称的に指す。 世界、時空間、及び世界境界を越えて自由に移動できるのは、 彼ら(+Temperamentを統括する「世界の番人」)のみである。 Temperamentとなった人々は、元々は一生涯を 各世界で終えた者なのであるが、 彼らが生きていた世界において、 他人より突出した力・能力を持つ人間が、 「世界の番人」によって選出され、この義務を負う。 (大抵は、その者が全盛期だった頃の姿となって復活する) Temperamentに選ばれた者は、故意に殺したり、 肉体を消滅させない限り、死というものは訪れない。 つまり、半永久的に世界のバランスを保つという義務を 負っているのである。 (故にフォールは、時々『流刑囚』と自らを 皮肉を込めて例えることがある) 普段、彼らは時空間内で、次元の歪みを観測し、 異常があると、行動を開始する。 次元の歪みからは、何が起こったか、 どの世界からどの世界の何処に、誰が跳躍してしまったか、 などの情報を読み取ることが可能であり、 それを正確に読み取れるTemperamentほど有力な者と言える。 (まれだが、次元の歪みさえ感じないTemperamentも存在する) また、一目見ただけで、その人がこの世界の者か、 別世界の者かを判別することが出来る。 Temperamentは、各世界内で起こっている 出来事に関しては干渉することが出来ないという掟がある。 つまり、自らの世界で戦争が起こっていたり、 なにもかもが滅ぶという状態が起ころうとも、 彼らは手を差し伸べることは禁止されており、 指をくわえて見ている以外、何もすることができない。 物語の舞台となる世界を担当しているTemperamentは、 フォール=イスカンダルを実質的リーダーとする 数人で構成された一団である。 自らが担当する世界の次元が不安定であり、 別世界から様々なものが、この世界へ跳躍をしている状況が、 ここ何年も続いていた。 このままでは、観測漏れが発生するのは時間の問題だった。 原因を突き止めるため、、別世界を担当しているTemperamentにも協力を要請し、 敢えて世界への干渉を試みることとなる。 |
■舞台となる世界について 私達が住んでいる世界と同じように、 太陽系、そして地球と呼ばれる星が存在する世界である。 また、同様に戦乱の絶えない世界でもある。 いつからか、人口増加により、近隣の宇宙空間に 新たに人が住む場所が建設され、 そして、地上と宇宙の間で自治を巡って 戦争が幾度となく繰り広げられた。 幾多もの戦乱によって、人類が気づいたときには、 地球環境は再生不可能なほど荒れ果て、 宇宙は、コロニー、戦争に使われた武器の残骸が 無数のスペースデブリとなって地球を回っていた。 西暦2500年を過ぎて、人類はやっと環境の再生へ動き出す。 ここから何年か、「Recover Century」と呼ばれる時代となり、 地球環境を再生させようと、様々な研究施設が設立した。 しかし、環境は再生されるどころか実験をするたびに悪くなっていった。 年を重ねるごとに、大地は荒れ果て、海は濁り、 空は砂色の雲が覆うようになって行く。 地殻変動までもが起こり、世界の形もすっかり変わってしまう。 一般的技術レベルは近代の時代まで後退したが、 それでも生きようとする人類に、更に追い討ちをかけるものがあった。 異型の獣達が姿を現したのだ。 環境の変化で突然変異を起こしたのか…… 一説には「Recover Century」初期に作られた、 遺伝子を組み替えた生物が脱走し、野生・凶暴化したという説もあるが… 兎も角、この獣達によって、更に人口が減り、 ゴーストタウンどころか、シティまで現れるようになる。 いつしか「Recover Century」は「Broken Century」と名を変え、 絶体絶命の危機ということを誰もが感じ取っていた。 それでも人類は、人類同士の戦いを止めようとはしなかった。 「魔法」……今までの地球で、仮想上でしか存在し得なかったものが この世界に現れてしまったことで。 異型の獣達によって襲われたある町… そこでたった一人生き残った人間からそれは発見された。 それに目を付けたのが、「Recover Century」初期から存在した、 環境再生機構「Backer」だった。 彼らは異型の獣に対抗する新たな手段として、 人工的に魔法を扱える方法の研究を始めたのだ。 確かに、兵器の元となる資源を入手しにくいこの時代では、 有効な「武器」を作ることが出来る手段であろう。 しかし、移植の危険度の高さから、 疑問、反対の声を挙げる組織、機構も現れ、 年々その数は増えていった。 当然、反対程度で「Backer」の研究が終わるわけではなかった。 彼らの研究が始まってから3年後、 明らかにこの世界の住人ではない人間が現れ始める。 「Irregular」……彼らは総称してこう呼ばれるようになる。 更に、ほとんどの「Irregular」は、 何かしらの「魔法」とも言える能力を持つ人間であった。 ……これを「Backer」が見逃すはずがなかった。 「Irregular」と確認できた者を「保護」の名目で捕らえ、 彼らの研究は一層加速し始めた。 その加速度と比例して、移植失敗の被害者の数も増え、 「Backer」内の一部でも反発する者が現れた。 そして、反対組織は次第に、組織同士で 同盟を結ぶようになっていく。 その輪の広がりは、新たなもう一つの組織を生むことになった。 「Wish」……組織をまとめた者によって、 組織はこう名付けられた。 「魔法」が発見されて12年が経過した。 「Backer」の本部施設から、12年前の「事件」で たった一人生き残った人間が突如消えたことから、 歴史は急に動き始める…… ・Backer 「Recover Century」の初期から存在していた、 環境再生機構の一つである。 「地球を元の姿に戻すもの」という意味を込めて、 この名前が付けられている。 異型の獣が出現してからは、環境再生以外に、 彼らの研究にも乗り出し、対抗するための兵器の開発も進めてきた。 そして、獣達に襲われたある町で、 たった一人生き残った人間から魔法が発見されてからは、 人工的に魔法が使える術はないかと研究を始めるようになる。 2年後には、「Backer」総帥自らが実験台となり、 かなり微弱ながらも、人工的に魔法を扱うことに成功する。 その1年後には様々な能力を持つ「Irregular」の発見により、 扱える魔法の種類も増大していく。 「魔法」が発見されてから6年後には、 人工的に魔法を扱えるようになった人間のみで 1つの師団が出来上がるくらいまでになった。 しかし、実験の失敗も数多く存在し、 中には研究施設の一つが消し飛んだ事件もある。 また、例え魔法の使用が可能になったとしても、 不完全だったり、体に悪影響を及ぼす場合もある。 故に彼らに反発している組織も多く存在し、 「Wish」はその代表格である。 世界中に本部・支部合わせて8つの大きな研究施設群を持ち、 それぞれに師団が2〜3の数で組織されている。 なお、本部のみ人工的な島の上に建設されており、 常に海上を移動する要塞となっている。 「Backer」に所属している者、敵側の重要人物、 確認された「Irregular」や魔法所持者(以下Holder)などは 全て本部の中枢コンピューターに記録されており、 日々その内容は更新されている。 (「Backer」側はこの記録群を「リスト」と呼んでいる) 所属している者の8割近くが人工的なHolderであり、 その所持能力は様々である。 (大抵は1種類だが、2種類以上所持する者もいる) また、エージェントとして、特別的に指令を与えられ、 単独で行動できる者も各支部に数名配備されている。 現在の指導者はコードネームで「フェフ」と名乗っており、 魔法が発見された当時の総帥、 つまり、「魔法」を最初に埋め込まれた人間は既に引退している。 ・Wish 人工的に「魔法」を扱うことに抵抗する施設、 「Backer」内で、自分達のやっていることに疑問を持ったもの、 実験失敗による被害者、「Backer」から逃げ出したHolderなどが、 同盟を結んだ、「Backer」及び、異型の獣に対抗する組織である。 場所が固定されている施設等を除けば、 少人数(多くても20人余り)で行動をするグループが 幾つも構成されており、スパイ工作など、 どちらかといえばゲリラ的戦いを得意としている。 また、「Irregular」、「Holder」と見られる者の保護も行っている。 部隊ごとに役目、使用する武器などはあらかじめ決まっており、 特に使用武器は刀剣、重火器類はもちろん、 中には空母、大型ロボットを使用する部隊までと様々である。 少数部隊のためか、「Backer」にとって行動が読み辛い組織らしく、 逆に「Backer」の行動を完全に先読みしたかのように動くことも多い。 総合的に見て、「Backer」には非常に厄介な組織と見られている。 組織されたのは、「魔法」が発見されてから5年半後であり、 様々な同盟の成立に主に仲介役を果たした人物である、 「カーク=ハミルトン」が実質的指導者となっている。 しかし、指導者であるカーク自身にも謎が多く、 特に、仲介役をやる以前は何をしていたかは全く謎に包まれている。 また、彼自身の存在が確認されていない空白時期もあり、 敵にとっても味方にとっても謎多き人物であることは間違いない。 (空白時期に、部隊長の一人も消えていたという話もある) なお、カークはHolderであることを自ら公言しており、 実際に「Backer」にも確認されている。 ・異型の獣 「Broken Century」と呼ばれる時代の少し前から出現が確認された、 地球上の生物とは思えないおぞましい姿をした動物達であり、 「Broken Century」の名が作られた原因でもある。 見た目は、西洋ファンタジーに出てくる魔物そのものと言ってもよく、 人間が嫌悪感、恐怖感を感じる外見であることは確か。 詳しい生態などはほとんど確認されておらず、 分かっていることは、集団で人間の集落を襲う事件が度々あること、 人間のHolderと同じく、魔法らしき能力を使用する 個体も多数確認されていることである。 (なお、「Backer」は、これらの獣からの能力の移植も試みたが、 獣→人間の場合の移植は失敗例が9割以上を占めるため、 生態以外の研究は一切行っていない) また、人の言葉を使っている個体の目撃例もあるため、 知能の高さは相当なものと予測されている。 現れた原因も定かではない。 核兵器の放射能汚染による突然変異説や、 「Recover Century」にある施設から逃げ出した、 遺伝子を組み換えた生物が野生化したという説などがあるが、 どれも確証には至っていない。 なお、一個体のみ、不可思議かつ強力な能力を持っていることが 「Backer」の調査で確認されている。 確かに同じ個体と断定できるのだが、 毎回確認されるたびにその姿は変形しており、 姿が変わるごとにその身体能力は増加していく、 つまり、急激な進化的能力みたいなものと見られている。 近年は人の言葉を話すという報告もされており、 異型の獣の中で最も危険な存在となっている。 この個体のみ、カオスと称され、 Backerのリストにも登録されている。 ちなみに、「異型の獣」という名称は表面上のもので、 モンスター、魔物、化け物など、その呼称は様々である。 ・Irregular この世界の人ではなく、別世界と思われる人を総称的に指す言葉。 もともとはBackerが使い始めた言葉ではあるが、 Wishやその他の組織でも広く使われている言葉である。 当然のことながら、次元の歪みに飲み込まれて、 この世界に召喚されてしまった人々と、 歪みの原因を調べるために世界に介入している Temperamentを区別することは不可能なので、 両者共にIrregularと見なされている。 なお、別世界から召喚された者ではあるが、 姿が人間とは違うため、実際はIrregularでも、 異型の獣と認識されてしまう例もある。 |
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